ユーロ/円相場は、132円水準まで値位置を切り上げる展開になっている。1ヶ月近くにわたって128~130円をコアとしたボックス相場が続いてきたが、ドル/円相場が100円の節目をブレイクした動きと連動して、ユーロ/円相場も新高値を更新している。
5月2日の欧州中央銀行(ECB)理事会では0.25%の利下げが決定されており、欧州当局者からは追加利下げの可能性について言及する動きも見受けられる。ただ、ここにきてユーロ圏経済に安定化の兆候が見られる中、ユーロを売り込むような動きは限定されている。5月8日に発表された3月の独鉱工業生産は前月比+2.2%となり、市場予測-0.1%を大きく上回った。また、4月独サービス業PMIも49.6と低調ながらも市場予測を上回っており、ドイツ主導でユーロ経済が安定化に向かっている兆候が見受けられる。目先は5月15日に発表されるユーロ圏の1~3月期国内総生産(GDP)が注目されるが、ユーロ圏経済に復調の兆しが確認されれば、ユーロサイドからのユーロ高・円安シナリオも想定できる。もっとも、対ドルでの本格的なユーロ高が困難な情勢にあることを考慮すれば、ユーロ/円相場の上昇ペースは緩やかなものに留まるとみている。
一方、円サイドは特に目立った材料が見当たらない。円安加速も当局者は「為替の水準については言及しない」(甘利経済再生担当相)との基本スタンスを維持している。ただ、主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議では、黒田・日銀総裁が2%の物価目標に向けて金融緩和を進める方向性を再確認しており、金融政策環境からは円安傾向には変化がないだろう。引き続き、緩やかなペースでのユーロ高・円安を想定したい。
今後1週間の予想レンジは、130.00~134.00円。